「妙観察智1」 「眼聴(げんちょう)耳(じ)視(し)」眼で聴いて、耳で視る。不思議な言葉だが、医者は聴診器を耳にして患者の身体の音を聞きながら病気を診る。あの陸上短距離のボルト選手は風を聞きながら自分がどのくらいで走っているか知るそうだ。ベートーベンは四十歳ごろから耳が聞こえなくなり、ピアノを歯でかじって音の振動を感じ、あの交響曲第九番を作ったそうだ。つまり、人間は眼で見るだけではなく五感の機能を持ってあらゆるものを感じ、知ることができる。 これを現す言葉で「妙(みょう)観察(かんさつ)智(ち)」という語がある。