住職のお話

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住職

「勝の哀しみ3」

お釈迦様は今のネパールのヒマラヤ山麓の小国カピラヴァスツの王子として生まれました。

二十九歳で出家し三十五歳で悟ったと言われています。

その出家の様子を弟子に「比丘たちよ、出家しないまでの私は大変幸福な生活にあった。

私の生家には池があり、美しい蓮の花が浮かんでいた。部屋はいつも梅檀香の芳しい香りが漂い、着るものは全てカーシ産の最上の服であった。また、私のためには三つの別殿があり冬には冬の殿、夏には夏の殿、春には春の殿、外に出る時は白い傘がかざされ、他の家では召使には糖に塩粥を混ぜて与えるが、うちでは米と肉が供されていた。しかしそれにもかかわらず、その生活にとどまるが出来なかったのは、生老病死のことに思いいたったからだ」と述べています。

お釈迦様は生活に困窮して出家したのでも、哀しみに耐えかねて出家したのでもありません。

自分で「私は幸せであった」と述べています。しかしいずれは、老いて、病気をして、死んでいく、限られた虚しい存在であると気づくと、それまでの満たされた生活に満足出来なかった。

この虚しさを満たしてくれる真実なるものを求めて出家したのです。

まさに盧花の言う「勝の哀しみ」であり、「永遠の生命を求める」出家だったのです。

その結果、悟りで得られた真実とは何か。

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