住職のお話

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住職

「父の弁当」

昭和の貧しい時代の頃の、小学校に通う子が毎日弁当を持って登校していた。

お昼になって弁当箱を出してみたら、間違えてお父さんの弁当を持ってきたことに気づいた。

その子は「しめしめ、今日はおやじの弁当だ」と喜んだ。

そうして開けてみると、なんとおやじの弁当はいつもの自分の弁当の半分。

しかもいつもはおかずがついているけれど、おやじの弁当は味噌だけだった。

家でいつも「俺はお腹いっぱいだ。お前が食べろ」と言ってくれる。

親が自分を思う気持ちを知った時、泣いて食べられなかったという。

 その子には親の心が観えた。

みなさんも思い当たることがあるであろう。

お父さん、お母さんから、または友人からでも、「身体に気をつけろよ」と何度言われたか。

その言葉の中に万感の気持ちが入っていたことを。

まさにいま、思い当たるであろう。

いただいた言葉以上のことが、みなさんには感じ取れているはずです。


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