住職のお話

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住職

「勝の哀しみ4」

この世のものは全て関係性「縁」で成り立っていて、何一つ独立して存在するものはない。 

故に全ては「空」で、しかもその関係性は刻一刻と変化しているから「無常」である。

物事にこだわることの愚かさを教え「いま、ここ、自分」を充実させよ、「空」を充実させるべく努力せよ、そのことが永遠に通じると説くのです。

近代オリンピックの基礎を築いたフランスの体育家クーベルタン男爵の有名な言葉に「オリンピックは勝つことではなく参加することに意義がある」がありますが、次の言葉に「人生は成功することに意義があるのではなく努力することに意義がある」と言います。

人間は努力すればするほど、道の奥が底なしに深いとわかるのです。

学べば学ぶほど、自分の無学を知り、永遠の努力が必要だとわかるのです。

これは、「この世が全て縁という関係性で成り立っていて、何一つ独立して存在するものはない、故に空であり無常である」ということがわかることなのです。

努力をし続けることこそ真実を見る智慧なのです。

故に菩薩(仏道をもとめて修行する人)を永遠の努力者と訳すのです。

盧花の言う「一時の栄光を求めず永遠の生命を求めよ」と、世阿弥のいう「時分の花ではなく、初心を忘れず真実の花を咲かせなさい」とは、勝ち負けに捕らわれず、時分の花に驕ることなく、努力をし続けることこそ真実であり永遠だということです。

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