住職のお話

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住職

「交差点」

数年前に急性膜下血腫で三週間ほど入院いたしました。

原因は一月に降った雪に滑って頭を強く打ったことによるものでした。

今まで病気らしい病気もなく、まして手術、入院は初めての経験でした。

病院は、交差点の角にあって私の病室からは交差点の様子がよく見えました。絶対安静ですので他にすることもなく、車が赤で止まり青で出ていく交差点の様子を毎日見ていると、「自分は今、人生の赤信号なんだ、止まれなんだ」と思うようになりました。

急いでいるときには赤信号は長く感じますが、上から見ていると、赤も青もたいして時間は変わらない。

「よし青になるまで待とう」と思うと、単純なもので気が楽になりました。

また、タクシーが赤で止まるや否や、運転手さんが胸ポケットからボールペンを出し、乗車記録にメモをしている光景や、トラックの運転手さんがフロントガラスを拭いている様子を見て、人生の赤信号の時に何をすべきなのかを学んだ気がします。

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